記事公開日:2022年6月9日
クラウンヒストリー
白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫が「三種の神器」と呼ばれた昭和30(1955)年、
「日本人の技術で世界一のクルマをつくる」という使命を担い、初代クラウンは誕生した。
オートマチックトランスミッションやダブルウィッシュボーン式フロントサスペンションなど、日本初の技術を数多く搭載。
アメリカに輸出された際「日本にもこんなクルマがつくれるのか」と驚きを与えた。
あれから68年、クラウンの軌跡を辿っていく。
クラウンの軌跡
〜伝統と革新〜
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1955昭和30年初代 RS型トヨタが生み出した、
国産初の高級乗用車まだ日本が海外の協力を得ながらクルマをつくっていた時代、トヨタは独自の技術だけでクラウンを完成させた。“日本初の技術は、いつもクラウンから搭載される”という自負は初代から継承されていることが分かる。耐久性も当時から抜群で“ロンドン~東京5万キロドライブ”を敢行し8ヶ月かけて完走。そのパワーを国内外にアピールした。当時の価格は101万4860円で、当時の国民の年間平均所得の約12.5倍。タクシー業界からは乗り降りのしやすい観音開きドアが好評で、タクシー・ハイヤーの定番として全国で愛された。
RS ■全長4285×全幅1680×全高1525mm
■ホイールベース2530mm
■1453cc直列4気筒頭上弁式エンジン
■最高出力48ps/4000rpm -
1962昭和37年2代目 RS40系クラウンに寄せられる信頼
初代を発表してから7年。クラウンは富裕層のみならずタクシー・ハイヤー業界からも支持を得て、好調な販売を維持していたが、基本設計の古さが目についてきた。そこで1962年、フルモデルチェンジを行いアメリカン・コンパクトを想わせる、全長4610mmの伸びやかで美しいフォルムへと大変身を遂げた。また、クラウンのトレードマークともいえる王冠のエンブレムもこの2代目から図案化され、今日までフロントグリルを飾り続けることとなる。
RS41 ■全長4610×全幅1695×全高1460mm
■ホイールベース2690mm
■1897cc直列4気筒エンジン
■最高出力90ps/5000rpm -
1967昭和42年3代目 MS50系白いクラウン
“いざなぎ景気”と呼ばれた好景気に沸く日本。各地で高速道路が整備される中、クラウンはゆとりある高速長距離セダンをテーマに開発された。スタイリングは“日本の美”を意識し、さらに低く長く端正な印象となる。1968年には2ドアハードトップモデルが追加され、スポーティな表情も見せるようになった。
自家用市場を拡大するための黒塗りに対し“白いクラウンは幸せなハイライフの象徴・・・”と謳い、洗練された高級感を喚起させ、個人ユーザーの需要を加速させることになった。MS50-F ■全長4665×全幅1690×全高1445mm
■ホイールベース2690mm
■1988cc直列6気筒頭上弁式OHCエンジン
■最高出力110ps/5600rpm -
1971昭和46年4代目 MS60系エレガンツ・クラウン誕生
日本経済は順調に推移していたが、円は変動相場制に突入。世相的にも本当の“美しさ”“豊かさ”を模索し始めた時期であった。クラウンもそうした影響を受けたのか、美しい丸みを帯びたスピンドルシェイプに変身した。新型2.6LエンジンやEFI(電子制御燃料噴射)を搭載し、個性ある高級サルーンへと生まれ変わった。また車名を「トヨペット・クラウン」から「トヨタ・クラウン」に変更した。
MS60-G ■全長4680×全幅1690×全高1420mm
■ホイールベース2690mm
■1988cc直列6気筒頭上弁式OHCエンジン
■最高出力110ps/5600rpm -
1974昭和49年5代目 MS80系美しい日本のクラウン
オイルショックの混乱が続く中でも、クラウンは進化を止めなかった。新たに4ドアピラードハードトップを用意、またセダンでは最上級グレードにロイヤルサルーンの名を冠し、スタイリングは落ち着きと安定感が強調された。機能面ではオーバードライブ付き4速ATや車速感応型パワーステアリングなど、高級車に相応しい装備を搭載。広告には女優・吉永小百合さんを起用。美しさと風格の漂うクラウンとなった。
MS-85HQ ■全長4765×全幅1690×全高1440mm
■ホイールベース2690mm
■2563cc直列6気筒頭上弁式OHCエンジン
■最高出力140ps/5400rpm -
1979昭和54年6代目 MS110系日本の薫り
70年代最後の年。東京サミットが開催され、日本経済は立ち直りつつあった。この年6代目が誕生する。すでに日本の高級車として確固たる地位を確立していたクラウンは奇をてらうことなく、より重厚な佇まいへとシフトした。開発趣旨は「ゆとりと信頼性、静粛性にすぐれた室内、省資源」をキーワードとし、トヨタ初のターボ車を投入するなど、80年代を見据えた様々な革新に満ちていた。
E-MS110-SEBGE ■全長4690×全幅1690×全高1435mm
■ホイールベース2690mm
■1988cc直列6気筒エンジン
■最高出力125ps/6000rpm -
1983昭和58年7代目 MS120系いつかはクラウン
バブル前夜の1983年。多くの日本企業が確かな国際競争力を身に付け始めていた頃。7代目クラウンが発表された。セダンと4ドアハードトップの2ボディ展開で、エンジンは11種類にものぼり、1985年には日本初となるスーパーチャージャーを搭載。足回りでは4輪独立サスペンションの採用。ABSの先駆けとなる4輪ESCを標準装備するなど、クラウンならではと言える先進的な進化を遂げた。そして“いつかはクラウン”のコピーと共に、成長し豊かになった日本を象徴するかのようなステイタスシンボルとなり、個人ユーザーの需要を加速させることになった。
E-MS123-SESQF ■全長4860×全幅1720×全高1435mm
■ホイールベース2720mm
■2759cc水冷直列6気筒DOHCエンジン
■最高出力175ps/5600rpm -
1987昭和62年8代目 MS130系満たされて、新しいクラウン
日本全体が浮き足立っていたとも言える享楽の時代。ハイテク、エレクトロニクスという言葉が盛んに飛び交い、クラウンも電子制御エアサスペンションやエレクトロマルチビジョンなど、最先端のハイテク装備を意欲的に導入。また、3ナンバー専用ボディを設定し、セルシオに先駆けたV8エンジンを搭載するなど、「クラウンを超えるのはクラウンしかいない」という気概を感じさせるモデルチェンジであった。
E-MS135-AESQF ■全長4860×全幅1720×全高1420mm
■ホイールベース2730mm
■2954cc水冷直列6気筒OHCエンジン
■最高出力190ps/5600rpm -
1991平成3年9代目 JZS140系すべては、クラウン
株価急落。また経済のみならず、世界情勢も不安定だった年。90年代最初のクラウンが登場する。バブル期から低迷期という混乱の時も、クラウンは信念を持って開発を進め、新シリーズの“マジェスタ”を発表。V8エンジンを搭載し、世界最高レベルの静粛性を実現させる。一方、ロイヤルシリーズはより若々しくウェッジシェイプの効いたボディへ。輸入車からも高級車が続々と参入する中、確固たるクラウンらしさを見せつけることとなった。
E-JZS135-AESUF ■全長4860×全幅1720×全高1440mm
■ホイールベース2730mm
■2997cc水冷直列6気筒DOHCエンジン
■最高出力230ps/6000rpm -
1995平成7年10代目 JZS150系美しく、走る。日本のクラウン
大きな天災や事件の多かった1995年。人々が新しい価値観を模索していた時代、クラウンも時代が求める車に変革できるかが問われていた。その顕れがVSCなどの安全装備や、環境に寄与する新技術の惜しみない搭載だ。特に重要なトピックは、すべてのグレードでのフルフレームからモノコックボディへの移行だ。これにより剛性等の安全性はさらに進歩した。“常に挑戦”、これがクラウンの哲学なのである。
E-JZS155-AEPUF ■全長4840×全幅1710×全高1450mm
■ホイールベース2780mm■
2997cc水冷直列6気筒DOHCエンジン
■最高出力220ps/5600rpm -
1999平成11年11代目 JZS170系21世紀へ。このクラウンで行く
夢に見ていた21世紀はすぐそこまで来ていた。クラウンは高級セダンとしての地位を確立しながらも、決して甘んじない“攻め”の姿勢を取り続け、走りにこだわるヤングエグゼクティブをターゲットに“アスリート”を発表。まるで“ZERO CROWN”を自ら予言していたかのようなスポーティなシリーズだ。新世紀を迎えた2001年にはマイルドハイブリッドシステムを搭載し、環境への配慮においても高く評価された。
TA-GXS12-CEPFK(Q) ■全長4695×全幅1695×全高1515mm
■ホイールベース2785mm
■1988cc水冷直列6気筒DOHCエンジン
■最高出力160ps/6200rpm -
2003平成15年12代目 GRS180系ZERO CROWN
かつてゴールだったクルマが、いまスタートになる―。そんなキャッチコピーを掲げて登場。しかし、時代とともにニーズが多様化し、若い世代にとってクラウンは興味の対象外となってしまった。その危機感から走りを本物にし、デザインもイメージも刷新したいと考えた。半世紀にわたる伝統の重みを感じながらも、敢えて原点からのクルマづくりに挑んだのである。その熱い想いを、“ZERO”というキーワードに込めて、「日本独創」をテーマに、世界に通用するクルマという命題を自らに課し、結果、力強い走りを約束する“躍動”のイメージを際立たせる進化を遂げた。
UA-GRS182-AETUH ■全長4840×全幅1780×全高1470mm
■ホイールベース2850mm
■2994ccV型6気筒DOHCエンジン
■最高出力256ps/6200rpm -
2008平成20年13代目 GRS200系超えてゆく、ブランド
「安心」と「信頼」といったクラウン伝統の資質を受け継ぎながら、積極的に先進技術を採り入れ、世界基準の性能を確保しつつ日本人の感性と調和する魅力を備えた13代目クラウン。開発チームは、ZERO CROWNの再評価からスタート。エンジンやプラットフォームを継承しながら、ポテンシャルをもっと引き出すために筋肉を強化し、運動神経をさらに発達させることで、ドライバーが、目で見て、ふれて、走らせて“あぁ、すごい”と感動できる性能を手に入れる事に成功した。
DBA-GRS202-AETQH ■全長4870×全幅1795×全高1470mm
■ホイールベース2850mm
■2994ccV型6気筒DOHCエンジン
■最高出力256ps/6200rpm -
2012平成24年14代目 GRS210系CROWN ReBORN
クラウンとは何か。クラウンのあるべき姿とは何か―。 原点でもある「革新への挑戦」に立ち返り、生まれ変わった新時代のクラウン。より大胆に、強い個性を打ち出した新しいデザインはもとより、環境への配慮と爽快な走りを高次元でバランスさせた新開発の2.5L ハイブリッドシステムなど、単なる進化の延長線上にはない、ダイナミックな飛躍を遂げた。
DBA-GRS210-AETUH ■全長4895×全幅1800×全高1460mm
■ホイールベース2850mm
■2499ccV型6気筒DOHCエンジン
■最高出力203ps/6400rpm -
2018平成30年15代目 ARS220系未来とつながるか
挑戦と革新を続ける、初代コネクティッドカーとして登場。 15代目も”トヨタ初”の技術を搭載する伝統を守り、車両盗難時に車両位置を追跡できるセキュリティサービスや、道路情報を常時自動更新するサービスなどが利用可能。
プラットフォームは、TNGAコンセプトに基づく新型を採用。エンジンは、ハイブリッド車用に「ダイナミック・フォース・エンジン」が搭載されるなど、トヨタの”最新”が詰め込まれた。
これまでの「アスリート」「ロイヤル」「マジェスタ」という3グレード編成を見直し、エクステリアデザインは1つに統一された。6AA-GWS224-AEXAB ■全長4910×全幅1800×全高1455mm
■ホイールベース2920mm
■3456ccV型6気筒エンジン
■最高出力299ps/6600rpm
クラウンの系譜
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